【H1】我々にとって体系は必然的なものか(『講義』p58_1)

この論文の主題(「自由」と「体系」の相克)が重要となるのは、我々にとって「体系」が必然であり、「自由」が最高の尺度でなくては意味がない。実際、「体系」も「自由」も今日緊急事でないと考えられている。ニーチェはその状況を「ニヒリズムの到来」として識した。ニヒリズムとは「体系」に対する疑いであり、無関心である。しかし、だからといって体系は無価値である、と結論づけてはならない。体系は最高に本質的である。

体系への問いこそが真の哲学である。真の体系は、本質的な洞察による断念を乗り越えた所に生じる。