2003-10-01から1ヶ月間の記事一覧

  【 シェリング『人間的自由の本質』を読む 1 】  

2002/10/30〜2003/4/ にかけて、シェリング『人間的自由の本質』をネット上でまとめました。それをupしています。サブテキストとしてハイデガー『シェリング講義』を用いています。 『人間的自由の本質』(中央公論社「世界の名著 フィヒテ・シェリング」所…

序論1 自由の体系との連関 (p399)

【第1段落】 人間的自由の本質を探求するための、二つの課題。 3-1)自由の概念の画定 「自由」とは、検証するまでもなく明らかに感じる「事実」であるが、 その概念を正確に言葉にすることは難しい。「自由」の適切な 概念を暫定的に把握することがまず重要…

  【 シェリング『人間的自由の本質』を読む 2 】  

序論 自由の哲学体系との関連をめぐる諸考察

5. 体系の可能性に関する問題点(『講義』p111_5)

序論1 2-7段落参考

4. カントを超える試み(『講義』p98_1)

ドイツ観念論者は、カントが直示的性格を持たないとした理念を「絶対者の知的直観」により認識できるとした。理念(神、世界、人間)は感性的な対象(事物)ではない。非感性的な非対象である。非対象の認識は「知的直観」によって行われる。(例えば数学的…

3. なぜ体系がドイツ観念論の主題となりえたか(『講義』p84_1)

新たに理性が真理の法廷となった。理性の本質の原理的省察を初めて行ったのはカントである。理性は我々の直観と思考を、「存在者の全体の 包括的統一と統一をもった分節へ向かうように」指示を与える。理性は統一への志向性を持ち、様々な存在者を、ある一つ…

2. 体系が形成される条件(『講義』p71_13)

真の体系は、「近代」というある決まった状況下で現れてくる。人間への信頼から、中世キリスト教の世界観が崩壊し、それに代わる新たな世界像を−神さえも−構築せねばならない。その根拠となるのは理性である。 2-1.数学的なものの優勢 2-2.数学的なものが…

1. 体系とはどういう意味か(『講義』p65_5)

体系は次の三つの性質を併せ持つ。 1-1.内的な結構 : 存在そのものの結構と結合を知の形に接合 1-2.外的な寄せ集め :手持ちの知を配列、分類。教科書 1-3.枠組み :その中間 真の体系は「内的な結構」である。 「体系とは、あらゆる知を可能にする根源的な…

【H2】体系の本質的な洞察(『講義』p64_17)

体系を考察する際、以下のように問うてみる。 1. 体系とはどういう意味か 2. 体系が形成される条件 3. なぜ体系がドイツ観念論の主題となりえたか 4. カントを超える試み 5. 体系の可能性に関する問題点

【H1】我々にとって体系は必然的なものか(『講義』p58_1)

この論文の主題(「自由」と「体系」の相克)が重要となるのは、我々にとって「体系」が必然であり、「自由」が最高の尺度でなくては意味がない。実際、「体系」も「自由」も今日緊急事でないと考えられている。ニーチェはその状況を「ニヒリズムの到来」と…