2. 体系が形成される条件(『講義』p71_13)

真の体系は、「近代」というある決まった状況下で現れてくる。人間への信頼から、
中世キリスト教の世界観が崩壊し、それに代わる新たな世界像を−神さえも−
構築せねばならない。その根拠となるのは理性である。

  2-1.数学的なものの優勢
   2-2.数学的なものが知全体を基礎づけようとする
   2-3.「我思う(理性)」が数学的なものに根拠を与える
   2-4.理性が真理の基準となる
   2-5.キリスト教世界観の崩壊
   2-6.その崩壊は、人間を自己自身へと解放する

  2-6補足
   キリスト教世界観の崩壊は、理性を根拠に、人間を世界の中での位置づけを
   新たに要求する。 理性が真理の法廷となり、その探求は存在を征服しようとする
   意志へと向かう。人間とはなんであり、その本質はどこにあるべきか、この世界は
   人間にとってどういった構造になっているのか。そのためには存在者全体の結構(体系)
   の構想を必要とする。その体系は数学的理性的なものである。