【8】 超越論的循環としての心理学的解決

超越論的現象学の主題は、可能的な世界一般、つまり潜在的地平を含んだ全体的地平(「世界」)における多様な志向的関係性を具体的かつ体系的に解明することにある。

「世界」の完全かつ全体的な存在意味が、普遍的にそしてかかる世界に対する構成的な諸カテゴリーに関して解明される。この解明は超越論的主観性を舞台に行われる。

科学が対象とする客観世界は「世界」に包括されている。
それゆえ、あらゆる実証的な諸学問は、それが対象とするすべての
対象領域と共に超越論的に判断停止のもとにおかれねばならない。

超越論的現象学が問題としている主観性(超越論的主観性)は、現象学的心理学(や経験心理学)が問題とする主観性(心的主観性)とは異なっている。*1