解説2

*4【心的主観性と超越論的主観性の関係】

心的主観性も、超越論的主観性で意味を獲得された二次的なものです。(3a. 4-2の層において)すべてに先立つのは超越論的主観性ですが、その自我は、私を世界内部の存在とするような自己統覚機能が固有領域において働きます。それにより心的自我の意味が構成されるのです。

 「超越論的自我としての私は、私に対して存在する世界を志向的相関者として構成した・・・(中略)・・・他方において私は、その世界構成に対応する構成的総合によって自己を、構成された世界全体の内部にある人間的で人格的自我という、普通の意味での自我(心的主観:ポール)という名のもとに、世界内部の存在とする自己統覚を行った」(『省察』45節)

それゆえ、「心的主観性(及びそれと対置して存在する世界)の存在は超越論的主観性を前提とする」と言えるのです。