解説

*1【形相的還元】

形相的現象学における還元が「形相的還元」です。
これにより、事物の本質形式(形相)を取り出すこと(本質直観)が可能となります。

 現象学的還元 − 意識体験の領域をその個別的事実において探求。
 形相的還元   − 意識体験の領域の普遍的な本質形態(形相)を探求。

形相的還元とは、ある事象内容を持った個体(具体的な一匹の犬等)から出発して空想的な自由変更をつうじ、それの形相(犬の必要不可分な本質)を抽出する作業です。本質直観と言ってもいいでしょう。(本質直観:変化の中で普遍である本質を捉える操作)

このような本質学、形相学をフッサールは「存在論」と呼びます。存在論は対象の領域によって二通りに分けられます。

領域的存在論
世界のうちの諸領域には、それぞれ経験的事実学が対応しているのと同様に、本質学の対応がさらに要請される。これが領域的存在論である。たとえば幾何学は空間的世界のそれである。
形相的存在論
適用範囲が領域的に限定されないもの。算術、代数、一般論理学。