【 E・フッサール 『ブリタニカ草稿』を読む 2 】  

【目次】

0  まえがき
1  純粋自然科学の純粋心理学
2  自己経験及び共同経験に関する純粋に心理的なことがら、志向的体験の全体的記述
3  純粋心理学的なものの孤立した領野−現象学的還元及び真の内的経験
4  形相的還元及び形相的な学としての現象学的心理学
5  精密な経験的心理学に対する純粋に現象的な心理学の原理的な機能
6  デカルトの超越論的展開とロックの心理学
7  超越論的問題
8  超越論的循環としての心理学的解決
9  超越論的−現象学的還元及び二重化の超越論的仮象
10 超越論的現象学に対する予備学としての純粋心理学
11 存在論としての超越論的現象学
12 現象学と精密諸科学の根本的危機
13 現象学と経験的現象学との現象学的な基礎づけ
14 全体的哲学としての完全な現象学
15 現象学的問題としての最高かつ究極の問題
16 あらゆる哲学的対立の現象学的解決*1

 

*1:1929年の『エンサイクロペディア・ブリタニカ(大英百科事典)』の改訂に際して<現象学>という項目が新たに加えられることになり、1927年にその執筆がフッサールに依頼された。自分の創唱した現象学がいわば初めて世界での市民権を認められたことを喜んだフッサールハイデガーを協力者に選んで、1927年夏以降その執筆に取りかかった。この協力関係は必ずしもうまくいかず、結局最終稿はフッサール一人の手になり、それが英訳者の手で極度に妙訳されて、『ブリタニカ』に採録された。その準備段階の草稿と、最終稿の原文が『フッサリアーナ』第九巻に付録として収録されている。小さいながらもフッサールの思想が充分に熟した時期の体系的叙述であり、現象学研究の一つの指導標と目されているものである。(『現代思想 臨時増刊フッサール』より)